極上御曹司に求愛されています
「い、いえいえ、とんでもない。どれもこれもおいしくて持って帰りたいくらいです」
芹花は目の前にある木島のキレイな顔に、顔が赤くなったような気がしたが、それはお酒のせいだと自分に言い聞かせた。
「このあと鯛めしが出るけど、食べられる?」
「え? 鯛めし大好物です」
木島の言葉に、芹花は明るい表情を浮かべ何度も頷いた。
「俺も。実は、ここに連れてきたのも鯛めしが食べたかったからなんだ」
「それほどおいしい鯛めしなんですね。楽しみです」
木島に多少の緊張感を覚えていた芹花だが、鯛めしと聞いて、再び朗らかな笑顔を浮かべる。
「それと、デザートには吉野の葛を使った……」
「あ、ごめんなさい。誰だろう、電話が……え、母さんだ」
芹花の明るい声を追うように木島が言葉を続けた時、スマホの着信音が部屋に響いた。
芹花が鞄からスマホを取り出すと、母親からの電話だった。
「ちょっと、すみません。……もしもし、母さん?」
『芹花? 久しぶりだけど、元気にしてる? 今日はお仕事はお休みでしょ?』
「え? あ、うん、仕事は休みなんだけど、あの、今……」
突然母の滑舌のいい大きな声が部屋に響き、芹花は焦った。
テーブルに置いたスマホを凝視し、とりあえず母の問いに答えるが、何故かスピーカーモードになっていて、母の声は芹花だけでなく木島にも聞こえている。