極上御曹司に求愛されています
綾子は、今も芹花の地元で暮らす彼女の小学校からの親友だ。
自宅近くの公立大学を卒業後、町の図書館で司書として働いている。
綾子の母親の治美は芹花の母親と職場が同じで、昔から家族ぐるみの付き合いを続けている。
きっと、綾子の様子を治美づてに聞いて、電話をしてきたのだろう。
『結婚式の当日はうちに泊まるのよね? 楽しみにしてるわよ。じゃあ、体調に気を付けてお仕事も頑張ってね』
「あ、母さんも無理しないで。父さんと杏美にもよろしくね」
芹花は思い出したようにスマホに向かって声をあげた。
『はいはい。じゃあね』
会話が終わり、スマホの画面が待ち受けに変わった。
とはいっても、まだなんの設定も終えていないせいで、標準仕様の待ち受け画面だ。
「早く使い方を覚えろよ。ここをタップして、こうすれば……ちゃんと話せるし、切るときは右側のこれ」
淡々と説明する木島に、芹花はうんうんと頷く。
「俺のスマホと同じ機種だから、わからないことがあれば聞いてくれ」
「うん……あ、はい。すみません」
芹花は恐縮しながら頭を下げスマホを受け取ろうと手を伸ばした。
けれど、木島は何を思ったかひょいとスマホを上に掲げ、そのまま操作し始めた。
「あ、あの?」