極上御曹司に求愛されています
木島が構えることなくあっさりと口にした言葉の意味は、かなり重い。
芹花は、彼が背負う木島家という名家に生まれたプレッシャーを、感じた。
けれど、柔らかな声音からは、すでにそのプレッシャーに折り合いをつけたに違いない強さも聞き取れた。
「悠生。うん、いい名前です。きっと幸せな人生を長く長く過ごせるはずです」
決して短くはない時間、酒を飲み続けているせいか、芹花はなめらかな口調で悠生と口にした。
普段なら男性の名前を呼び捨てることなどできないのに、そのことにすら気づいていない。
木島はニヤリと笑った。
「だったらこれからは、木島なんていうやっかいな名字で呼ぶのは禁止。悠生って呼んでくれ」
「は? 悠生……?」
「そう。この名前、気に入ったんだろう? だったら遠慮せずにそう呼べば?」
「え、でも、それはちょっと」
芹花は慌てて首を横に振った。
「なんで? 気に入ったんだろう?」
顔を赤くし、姿勢を正しながら服を整える様子に、木島は目を細めた。
「芹花」
突然呼び捨てにされ、芹花はぴくりと体を震わせた。
男性から呼び捨てにされることに慣れていないのだ。
「もしかして、お父さんは車好き?」
きっとそうだろうという木島の問いに、芹花は驚いた。