極上御曹司に求愛されています
「ど、どうしてそれを」
「んー? セリカは父親が昔隠れて乗っていた車なんだ。格好良くて覚えてる。だけど、グループ会社の木島自動車のライバル企業の車だから、夜中にこっそりと走らせてたな」
思い出し笑いをする木島につられ、芹花も肩を揺らした。
「私の父も、セリカに乗っていたんです。だからそのまま私も芹花という名前に。でも、私が生まれてすぐにファミリータイプの車に買い替えたらしくて」
なるほど、と木島は頷いた。
「芹花。……俺に負けず、いい名前だな」
再び呼び捨てにされ、芹花の鼓動はとくとくと速くなった。
「大企業グループのトップなんて、自動車ひとつとっても自分の立場を意識しないといけないんだ。だから、木島さんなんて面倒な名字で呼ばれるのは窮屈」
「はい……」
「だから、悠生って呼んでほしいんだ」
言い聞かせるような声に、芹花は納得したように頷いた。
「悠生」
呼び捨てにすることに抵抗はあったが、さんづけすることも嫌がっているような気がして、そう口にした。
もちろん、恥ずかしくてたまらない。
「芹花がものわかりのいい女でよかったよ」
自分が呼び捨てにするだけでなく、お返しにとばかりに呼び捨てにされ、ときめいた。