触れられないけど、いいですか?
「だからその日のパーティーでは、来賓への挨拶回りもせずに、適当に会場内をブラブラしてたんだ。

……ちなみにさくらは、何も覚えてない?」

「え?」

「そのパーティー、さくらも来てたんだけど」

「え⁉︎」


嘘、私もそこにいたの?
翔君が当時大学生ってことは、私は高校生だったのかな?
うーん、パーティーに参加するのは珍しいことではなかったから、思い出せない。



「話を続けるね。その日のパーティーは、年齢の近そうな人もあんまりいなかったっていうのもあってか、会場に一人でいたさくらが何となく気になって。俺、声を掛けに行ったんだよ」

「何て言って?」

「君、どこの子? みたいな」

「ナンパ?」

「その時はそんなつもり全然なくて純粋に声を掛けただけだったんだけど、今思うとナンパっぽいよね」


そう言って、過去を思い出しながらアハハと明るく笑う彼。
つられるように、私も少しだけ一緒に笑った。



「……ちなみにその時の私、声を掛けられてどんな反応してた?」

「凄いビクッとされて、怯えるような目で見られたよ」

「だよね……」


その時のことは覚えていないけれど、想像は容易い。
私が男性と、まあそれなりに会話は出来るようになったのは社会人になってからだ。
高校生の頃は、とにかく男性とは話したくないし、視界に入れたくない存在だった。
そのパーティーには、きっと父に連れられて渋々来ていたのだろう。
そんな当時の私は、突然翔君に声なんて掛けられ、相当驚いただろうし動揺しただろうな。
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