触れられないけど、いいですか?
「翔君、今日どこ行く?」

「今日は時間もあるし、少しだけ遠出しようか。横浜の方はどう?」

「わあ、行きたい!」


……と、ついはしゃぎそうになってしまったけれど、今日こうして会っているのは、デートを楽しむことが目的ではない。


「……霜月さんとちゃんと話したよ」

車が高速に乗ってから、私はポツリとそう言った。

私は下を向いていたけど、翔君の視線が一瞬だけ、私にチラッと向いたのが分かった。
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