触れられないけど、いいですか?

「あの、本当にご馳走様でした」

美味しいフレンチを堪能したのち、私達は共に高層ビルを後にした。


「いえ。俺の方こそ付き合ってもらってありがとうございました」

「そんな、とんでもないです! 元はと言えば今日お誘いしたのは私の方ですのに、お店の予約をしていただいただけでなく、ご馳走にまでなってしまって……」

なんだか、言葉にすればする程、申し訳なくなってくる。


「何かお礼を、させていただけませんか?」


真剣にそう尋ねると、彼はフッと柔らかく口角を上げた。そして。


「じゃあ……もう少しだけ、さくらさんの時間を俺にください」

「え?」

「デート。続けましょう」
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