触れられないけど、いいですか?
「そんなことないよ、全部充分すぎるくらいやってもらってる。
男性恐怖症も、それは仮にこの先も治らなくても別にいいんだよ。さくら自身の為に治すなら勿論これからも全力で協力していくけど、俺の為にとか会社の為にとか考えなくていいんだから。

家事を完璧にやってくれるところとか、俺や会社のことを優先的に考えてくれる、さくらの優しさや真面目なところが俺は好きだよ。
でも、頑張りすぎてるんじゃないかなって時々心配になるから、たまには手を抜いてよ。せめて、今日だけでも」

陽だまりみたいな笑顔でそう言われて……思わず素直に「うん」と答えた。

そうだね……。
彼の為に頑張ろうとしてきたことは間違っているとは思わないし、きっとこれからも頑張り続けるけれど……


今日くらいは、大好きな彼に甘えちゃおうかな。


「お休み、さくら」

「お休み、翔君」


不思議。さっきまで熱で苦しかったのに。まだ熱が下がった訳じゃないのに。

とても気持ち良く、眠れた。
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