僕と彼女の時間

 そして月日は流れ……。
僕は大学で理工学部の准教授として数学を教えていた。

 きょう、経済学部の新しい准教授が来ると聞いている。

 桜が綺麗に咲いたキャンパスを歩いていると真っ白なスーツに身を包んだ……。

 結里?

 それは二十歳の時、突然、僕の前から姿を消した……結里。

「速水君?」

「結里なのか?」

「久しぶり。元気そうね」
 そう言って笑う顔は、間違いなく結里。

「きょう赴任して来る、経済学部の准教授って……」

「うん。私よ」

「そうだったのか。あれから、どうしていたんだ?」

「ごめんなさいね。突然、居なくなって……」

「もう時効だよ。そうだ。今夜、食事でもどう?」

「うん。ありがとう」
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