俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
「話って……なんの?」

ゴクリと喉が鳴る。

「俺たちの間にある問題について」


問題?


返答に窮する私の眼前に夫がやってくる。

そしてふわりと私を抱きしめた。


「お前に俺の本心をきちんと知ってほしい」

「え?」

「話すまで逃がさないから、覚悟しろよ」

そう言ってほんの少しだけ身体を離した采斗さんが私の目を覗き込む。


至近距離に迫る眼差しには抗えない色香が交じる。

そしてゆっくりと唇が重ねられた。

まるで私になにかを諭すような優しいキスが次第に長く、激しくなる。


「ふっ、う……ん」

息苦しささえ感じて漏れた声はうまく言葉を発せない。


「……お前は俺のものだって忘れるなよ?」

唇を離した彼は艶やかな声で囁いて、私を胸の中から解放する。


「行ってくる」

踵を返した夫の表情は見えない。


なんでそんな言い方をするの?

どうして期待するような態度をとるの?


抱きしめられた身体が熱をもつ。

どれだけ私がこの人を好きか思い知らされる。


今さらそんな気持ちを知りたくない。

疑問だけは幾つも湧き上がるのに、そのどれひとつとしてぶつけられない。


明後日の夜、この人と対峙する勇気が今はもてない。
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