俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
耳をくすぐる声はどこまでも甘く優しい。

抱きしめられた腕の中は、とても温かく、なぜか泣きたくなった。


なにか言わなくてはいけないのに、なにも言葉にできない。

そんな自分にうろたえる。


その時、大きなノックの音が室内に響き渡った。

「残念、もう少し抱きしめて甘やかしたかったのに」


そう言って副社長は艶やかな目で覗き込んでくる。

冗談とは思えない台詞に目を見開く。


本物の婚約者でもないのに、どうして誓いのキスなんてするの?

なんでそんなにも甘い声で囁くの?

私に恋愛感情なんてないのでしょう?


尋ねたい内容が多すぎて混乱する。

「涙目、本当に可愛いな。その顔を俺以外に見せるなよ?」

そっと長い指で私の目尻に触れる。

コツンと軽く自身の額を私の額に合わせる。


「か、可愛くないです」

「お前の自己評価が低すぎるんだ」

眦を下げて私を一瞥した後、目尻に口づけが落とされた。

その後、するりと腕を解く。


どうぞ、とノックの主に返答をした途端、扉が大きく開けられた。
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