俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
あれよあれよという間に時間が過ぎ、手続きは着々と進んでいた。


そして七月の大安の休日、改めて采斗さんが我が家にやってきた。


『私の一生をかけて詠菜さんを守ります』

『将来をともに歩みたい女性は詠菜さんしかいません』


両親の前で、泣きたくなるほどの甘い言葉を照れもせずに言ってのける。

実家に采斗さんが結婚の許しを得にきているという現実が信じられなかった。

期間限定の結婚だというのに真摯に両親に挨拶をしてくれる姿に胸が詰まった。


事務的で衝撃的な副社長室でのプロポーズ以来、私は彼を名前で呼んでいる。

そうしなければ返事をしないと宣言され、会社以外では敬語もやめろと言われてしまった。


私の両親はこの結婚になぜか大賛成だった。


『なんで反対しないの?』

采斗さんと両親がひと通りの挨拶をし終えた後、問いかける。

『あら、詠菜は反対してほしいの?』

『そういうわけじゃないけど』

『日野原さんが行動力のある方でよかったわねえ。これくらい勢いをもって申し込んでくださらなきゃ詠菜は一生結婚しないでしょ。それにしてもお付き合いしていたなら教えてちょうだい』

母の発言に思わず眉間に力が入った。

どうやら私は以前から彼と交際していたことになっているらしい。


両親は幾つになっても男っ気のない娘を本気で心配していたようで、こっそり結婚相談所に登録しようとまで考えていたそうだ。

ただ母は、大企業の副社長の妻という役目を私が担えるのか心配していた。


『詠菜さんには窮屈な思いをさせてしまうかもしれませんが、決して不安な思いはさせません。なによりも彼女の気持ちを一番大切に考え、守り抜きます』

真摯な眼差しで宣言してくれた彼に母は安堵し、私はそれが演技だとわかっていても胸がいっぱいになって泣きたくなった。
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