一匹狼と野良猫。


「ゆい、こっちおいで」



不意に名前を呼ばれて驚く。

足は滉牙さんの方へ進み、

彼が座るソファーの前で腰を下ろす。



滉牙さんの大きな手がタオル越しに

頭をわしゃわしゃする。



今はお風呂上がりだから。

だからきっと顔が熱いの。

うん、きっとそう。



「髪引っ張ったら言って?」

「だ、大丈夫です」



そう言う彼の手は撫でられている様な

眠たくなる様な、優しい手。


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