一匹狼と野良猫。


「ねぇ、誰なの?
僕だけのゆいなに気安く触るアイツは」



荒々しい口調に力が籠る手。

頬を掴む腕力が徐々に強くなり、

切れた口からはポタポタと血が零れ落ちる。



「.......ねぇ?答えて?」



急に頬を掴む手を離されたかと思うと

先程とは打って変わり、

まるで割れ物に触れるかの様に

そっと頬をに触れてくる。


その仕草にゾクゾクと寒気がする。


どう答えようとも、何も言わずとも、

どっちにしろコイツは、私を殴り続け、

殺すだろう。


別にもういいや。

それで全て、終わるのならば。

この呪縛から開放されるのならば。



.........だけど、

滉牙さんにちゃんと、

想いを伝えておけば良かったな。

玲花さんにちゃんと、

お礼を言えば良かったな。

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