一匹狼と野良猫。


「ゆいな? 気がついた?」



顔を上げるのもしんどい。

どうでも良かった。


男がそっと頬に触れ、ゆっくり顔を上げられる。



「気がついたんだね......良かった......」



ホッと胸を撫で下ろす男の目は

泣いていた様で赤くなっている。



「.......ごめんね、ゆいな。
痛かったよね。今、冷やすから」



そう言って男は持っていた袋から

保冷剤を取り出し、頬につけられる。



「これで腫れも引くからね。」



ぎこちない笑顔。

あまりの冷たさに、頬の感覚が薄れていく。

次に袋から真っ白なガーゼと消毒液を取り、

消毒液をガーゼに塗布し、口元へ抑えられる。

< 464 / 624 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop