一匹狼と野良猫。
「ゆいと親との会話を盗聴する。」
彼の言葉にみんなが耳を疑う。
「君、盗聴も立派な犯罪だと知っているだろう。」
「あぁ。だからあんた達は、
この子と親が対談する場所に
『たまたま、パトロールして』て欲しいだけ」
「.........たまたま?
警官を暇人とでも思っているのか?」
「いや? ただ、協力して欲しいだけ。
............まぁ、詳しい話はまた別の日に。
どっちにしろ親と会うなら
退院してからじゃないと意味ないし
とりあえず今は退院優先って事で。」
そう言って彼はベッドの端に座り、
こちらを見て優しく微笑む。
「準備というか、
証言出来るものを俺が今準備してる。
あっちが仕向けて来なかったとしても
いずれこっちから手を打つつもりだったから
丁度いい。」
彼を見上げると、
こちらの不安を読み取ったのか
頭をわしゃわしゃとされる。