~ジラソーレ・ひまわり~(礼文島から愛を込めて)
夏海は、その夜久し振りにぐっすり眠った。

もうすぐ、颯太に会える。ただそれだけで、どんよりとした北の空も、晴れやかに見えた。


「母さん、おはよう。なんだか今日は、嬉しそうだね。何か良い事あったの?」


聡が訊いた。


「うん…、」


夏海は言葉を濁したが、聡にはわかった。


「母さん、颯太に…連絡ついたの?」


「ええ、昨日の夜に連絡がきたの。もう、留萌にいるって。」


「そうか…、母さんに会いに来るんだね。」


「聡、母さんは、会いたいの…。」

「母さん、構わないよ。俺の事は、気にしなくていいよ。俺は、民宿の事で、頭がいっぱいさ…。」


「聡…、ありがとう。」


その夜、颯太から電話がきた。


「夏海、僕はまだ留萌にいるんだ。ちょっと熱っぽい。今までの疲れが、でたかも。」


「颯ちゃん、大丈夫?薬は飲んだ?」


「うん、大した事ない。少し休んだら治るよ。」


「颯ちゃん、そっちへ行ってあげたいけど、民宿は今、忙しくて。」


「僕は、大丈夫さ。そうか、忙しくて良かった。儲けなくちゃ。笑。礼文へ行ったら、僕が夏海の手助けをしてあげるよ。」

「そうね、颯ちゃんにも、手伝ってもらいたいな、でもそんなに大きい宿じゃないの、バイト代出ないかも。笑。」


「お金なんて要らないよ。僕は、そんなつもりじゃないよ。夏海に会えるだけで、いいんだ。」


「颯ちゃん、ごめんなさい。怒った?私、そんなつもりで言ったんじゃないわ。でも、お金は必要でしょ?」


「あはは、夏海、怒ってなんかないよ。そっちに行っても、なんとかなるよ。いざとなったら昆布干しのバイトとかもあるしさ。笑。」


「颯ちゃん、ちゃんと調べてあるのね。笑。でも、私がいるから大丈夫よ、安心して。」

「僕は、もう休むよ。早く治して、夏海に会うんだ。笑。」


「うん、颯ちゃん、待ってる。何かあったら、すぐ知らせてね。」


「ああ、夏海、おやすみ…。」



< 50 / 65 >

この作品をシェア

pagetop