Last note〜特性を持つ者へ
「モーニングメニューはこちらです。
また決まったらお呼びくださいね!」

「ありがとう。ゆめちゃん綺麗になったね。
廣瀬と結婚したからかなぁ?」

「えーそうかな!?嬉しい!」

素直に照れる様子を見て、
いつも堅めの難波さんの表情も和らいだ。

「そういえば、早朝パトカーの音がしてたけど、その件なのか?」

「まぁね。二丁目の公園で殺人事件。
詳しくは話せないけど…企業秘密でしょ?
こうゆうのって、ね?難波さん。」

「よく理解ってるぢゃないか。」

メニュー表を捲りながら難波さんはニヤリと笑った。

「まぁそうだろうけど。
体は大丈夫か?コントロール出来てるか?」

廣瀬は俺の体調を親並みに心配してくる。

「大丈夫だよ!昔よりはだいぶね!
たまに修行にも行ってるし。」

「ならいいが。無理は禁物だぞ。
その度俺やゆめにレナさんからLINEで
相談が来るんだから。」

「レナさんには最近すっかり
頭が上がらない程尽くされてるよ。」

廣瀬は俺が特性を持ってるのを知っている。
もちろんゆめちゃんもだ。
だが、2人の相違と言えば、廣瀬もかつて特性を持っていた事だ。

それぞれ違う特性を持った俺らは多分、
引き寄せあって出逢ったんだと思う。
繋がりを深く感じる出来事が今まで沢山あった。

俺のいるCSSは、特性にも関わっている為、
難波さんにもここの喫茶店の存在を、廣瀬とゆう"特性を失くした"存在もいることを知って欲しかったのだ。

「青山くんは、いい友達を持ったんだな。」

「そうですね、幸せ者ですよ俺は。」

難波さんに注文が決まったか確かめると、
カツサンドのコーヒーセットを指さした。

「プラスいくらで増量とか出来ませんか?」

喫茶店で有り得ない事を尋ねたが、
廣瀬は笑顔で「今回は特別に。」と言ってくれた。

昔よりもだいぶ柔らかくなった廣瀬の笑顔は、
俺の幸せの一つでもある…。
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