Last note〜特性を持つ者へ
「CSSで扱っている事件は、
特性に関わる物も多いですからね!」

矢崎さんはそのHPをスクロールし、
[特性一覧表]とゆうリンクをクリックした。

すると、画面に沢山の特性の種類が並んだ。
俺が初めてこのHPを見たのは約3年半前。

あれから情報交換の掲示板等は更新されているだろうが、特性の種類や数自体は更新されないだろう。

このHPには大体の情報が揃っているのだ。

「"Breath"の特性…。
息を吹きかける事で、植物や花を咲かせる。
この特性は至って地味ではあるが、見た者は魅了されるだろう。」

矢崎さんが詳細文を読んでくれた。
まさしくその通りだ。

「納得です。本当に綺麗だったんです。」


次の文章に目を通した矢崎さんは、楽しそうだった表情が曇った。

「美しき特性、"Breath"だが、能力が2通りある。
それは光と影のように対となり、
花を咲かせる「光」と植物を操る「影」だ。

「影」の特性は非常に凶暴な場合が多く、
危険な為、その能力が開花してすぐに
処分されるケースが多い。」

俺達はその話を聞いて、愕然とした。

「処分される」

それは恐らく、死を意味する事だろう。

特性は、自分の親は選べないのと同じで、
運命のようにある日突然開花される事がある。

"成りたくてなったわけぢゃない。"

きっと誰もがそう言うのに。
"Breath"の「影」の特性は…
どんな特性よりも悲しい存在な気がした。

「ねぇ、まだ続きありますよ。」

矢崎さんがポソリと呟いた。

「読んで!最後まで…」

俺が急かすと、矢崎さんは再開した。

「対のように両極端な能力が開花される事から、
"Breath"の特性を持つ者は、
双子である事が非常に多い…。」

読み切った矢崎さんは小さくため息をつく。

そしてそれを聞いた難波さんが
確信を持って、被害者の自宅にあった
あの古い新聞記事を机に出した。

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