お見合い結婚いたします!~旦那様は極上御曹司~
まだ、この状況を現実として受け止められていないせいだ。
途端に心臓が激しく音を立てていく。
私の視線を受け止めた成瀬副社長は、ちらりと一瞬だけこちらに顔を向けてフッと笑ってみせた。
「それから、社内では構わないけど、〝成瀬副社長〟呼びはやめてもらいたいな」
「えっ……」
「名前で呼んでもらえたらって。俺もこれからは里咲って呼ぶつもりだから」
と、いうことは……潤希、さん?
「わ、わかりました……でも、すぐには、慣れないかもしれないですけど」
「そうだね、徐々に慣れてくれればいいよ」
そんな話をしながらやがて車が到着したのは、東京駅からほど近い都内トップクラスの高級ホテル。
聳える高層階をフロントガラスから見上げているうち、正面エントランスの車寄せで滑らかに車が停車する。
先に降りた成瀬副社長が近付いてきたホテルマンと何かやり取りをし、すぐに助手席のドアが開かれた。