犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら



私よりもすごく身長が高くて、脚が長い浅香と同じペースで歩けているのは、きっと彼の優しい気遣いだ。



やっぱり浅香の根本的な性格はすごく優しくて綺麗な心なのかもしれない。
まぁ、私のことからかってばっかりだけど。



そんなことを思っていると、浅香は私の右手にすっと指を絡ませてぎゅっと握った。



「ちょっと!」



と一応反抗はするけれど、やっぱりあたたかくて、大きな手は私の右手をしっかり包み込んでくれていて、なんとなく離したくないなって思ってしまう。



そんな私の気持ちなんて、すっかりお見通しなのかもしれない浅香はそのまま無言で歩き続ける。



寒い風が私の右手のあたたかさを余計に意識させる。



< 109 / 259 >

この作品をシェア

pagetop