犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら



少し歩いて着いた場所は、宿を少し通り過ぎたところにある、近くの丘だった。



「あーやっぱりな。
この時間がベストだと思ったんだよね」



そう言う三宅くんの目線の先には綺麗な夕日が山に沈んでいる風景が見えている。



「ほんと、すっごい綺麗...。」



私が夕日にすっかり見とれていると、左に居る三宅くんがすっと私の左手に触れた。



「手、冷たいね。寒いの?」


「へ?あ、うん...
末端冷え性ってやつ...かな???」



左手を握られただけなのにドクンドクンとまた私の心臓は音を立てて動き出す。

しばらく続いた沈黙には耐えきれなくて、私は言葉を発してしまった。



「み、三宅くん...どうしたの??」



「んー?」



そんな私の動揺を察してなのか、三宅くんはなかなか言葉を繋いでくれない。
私の左手をぎゅっと握ったまま夕日を見つめている。



「本当は今日言うつもりじゃなかったんだけどな...」



しばらくの沈黙のあと、三宅くんは少し迷ったように言葉を紡いだ。




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