キミと歌う恋の歌
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「アイ今日もおにぎりだけ?足りないでしょ絶対!」
「いつもこれだから…」
「私のおかずちょっと分けてあげるよ!ウィンナー好き?」
「え、悪いよそんなの」
「いいからー口開けて!」
目の前に座るメルから串に刺されたウィンナーを口元に近づけられ、しょうがなく口を開けると勢いよく突っ込まれた。
噛むと肉汁が飛び出して、口いっぱいに広がるジューシーな味に思わず目を閉じて堪能してしまった。
「美味しい…」
「でしょー!私のママのお弁当は世界一なんだから!」
思わず漏らした一言に心から嬉しそうににこにこと笑って答えるメルだったが、そんなお母様がメルのために愛情を込めて作ったであろうお弁当のおかずを奪ってしまったことに罪悪感を感じる。
「他にも欲しいのあったらあげるよ?」
「いや大丈夫。ウィンナーありがとう、美味しかった」
「うん!」
満面の笑みを浮かべたメルに教室中の熱視線が集まっているのを背中越しにびしびしと感じる。
週末を終えて初の月曜日から今日に至るまでの約1週間でクラスメイトたちはお昼の度にメルが教室に来て私と一緒に昼食を取ることには慣れたらしい。
だが、やはりメルの美少女ぶりにはいまだに慣れることはないようでメルが笑えばその瞬間教室中の注目が彼女に集まる。
それに加えて、元々メルは人前でこんなに無邪気に笑う姿を見せたことがなかったから、市川芽瑠が笑った!という号外は全校中に一気に広まり数日がたった今でも全校中から見物客が来て、顔を綻ばせていた。
「ねえアイ、今日練習休みらしいから放課後遊びに行かない?」
私のような殺風景なおにぎりでなく彩りのあるおにぎりを口いっぱいに頬張るメルが突然提案してきた。
そう、今日は文化祭の実行委員でもあるタカさんがその活動で忙しく、レオも用事があり、津神くんも夜からバイトということで練習は休みになった。
ボーカルに任命されてから初のことだったので、なんだか不思議な気分だ。
だけど、「ごめん」と顔の前で手を合わせた。
「今日は私も用事があるんだ」
「えーそうなの?残念」
頬を膨らませて眉毛を下げるメルの姿に全力で土下座をしたくなる。
初めてできた友達との初めてのお出かけなんて、行ったら死ぬと予言されていたって参上したいものだが、私の用事は今日を逃せばもう2度とチャンスがないかもしれない。
心底悔しいが、残念そうに口を尖らせているメルにもう一度謝った。
そのタイミングで、隣に人影を感じてそちらを見ると私の前の席の男子生徒が緊張した面持ちでメルだけを見つめて立っていた。
「あ、荷物、とってもいいかな、あ全然まだ座ってても」
いいよ、と続けたかったのだろうが、彼が言い終わる前にメルはすくっと席を立ち上がって、食べ終わったお弁当箱を雑に片付けた。
「ごめんなさい、席貸してくれてありがとう」
彼の目を見ることなく、さっきまでとは打って変わる無表情で早口でそう言うと、メルは私に手を振って足早に教室を後にした。
確か野球部だと言っていた前の席の彼はガクッと肩を落とし、爆笑しながら駆け寄ってきた同じ部活の人たちに励まされていた。
彼の目にはとりあえず私の姿は一ミリも映っていないようだ。
メルは学校で笑顔を見せるようになったが、それはあくまでも私にだけだ。
他の人間と接する時は私も恐ろしく感じるほどに愛想のかけらも見せない。
その徹底ぶりに今日も舌を巻きながら次の授業の準備を始めた。
「アイ今日もおにぎりだけ?足りないでしょ絶対!」
「いつもこれだから…」
「私のおかずちょっと分けてあげるよ!ウィンナー好き?」
「え、悪いよそんなの」
「いいからー口開けて!」
目の前に座るメルから串に刺されたウィンナーを口元に近づけられ、しょうがなく口を開けると勢いよく突っ込まれた。
噛むと肉汁が飛び出して、口いっぱいに広がるジューシーな味に思わず目を閉じて堪能してしまった。
「美味しい…」
「でしょー!私のママのお弁当は世界一なんだから!」
思わず漏らした一言に心から嬉しそうににこにこと笑って答えるメルだったが、そんなお母様がメルのために愛情を込めて作ったであろうお弁当のおかずを奪ってしまったことに罪悪感を感じる。
「他にも欲しいのあったらあげるよ?」
「いや大丈夫。ウィンナーありがとう、美味しかった」
「うん!」
満面の笑みを浮かべたメルに教室中の熱視線が集まっているのを背中越しにびしびしと感じる。
週末を終えて初の月曜日から今日に至るまでの約1週間でクラスメイトたちはお昼の度にメルが教室に来て私と一緒に昼食を取ることには慣れたらしい。
だが、やはりメルの美少女ぶりにはいまだに慣れることはないようでメルが笑えばその瞬間教室中の注目が彼女に集まる。
それに加えて、元々メルは人前でこんなに無邪気に笑う姿を見せたことがなかったから、市川芽瑠が笑った!という号外は全校中に一気に広まり数日がたった今でも全校中から見物客が来て、顔を綻ばせていた。
「ねえアイ、今日練習休みらしいから放課後遊びに行かない?」
私のような殺風景なおにぎりでなく彩りのあるおにぎりを口いっぱいに頬張るメルが突然提案してきた。
そう、今日は文化祭の実行委員でもあるタカさんがその活動で忙しく、レオも用事があり、津神くんも夜からバイトということで練習は休みになった。
ボーカルに任命されてから初のことだったので、なんだか不思議な気分だ。
だけど、「ごめん」と顔の前で手を合わせた。
「今日は私も用事があるんだ」
「えーそうなの?残念」
頬を膨らませて眉毛を下げるメルの姿に全力で土下座をしたくなる。
初めてできた友達との初めてのお出かけなんて、行ったら死ぬと予言されていたって参上したいものだが、私の用事は今日を逃せばもう2度とチャンスがないかもしれない。
心底悔しいが、残念そうに口を尖らせているメルにもう一度謝った。
そのタイミングで、隣に人影を感じてそちらを見ると私の前の席の男子生徒が緊張した面持ちでメルだけを見つめて立っていた。
「あ、荷物、とってもいいかな、あ全然まだ座ってても」
いいよ、と続けたかったのだろうが、彼が言い終わる前にメルはすくっと席を立ち上がって、食べ終わったお弁当箱を雑に片付けた。
「ごめんなさい、席貸してくれてありがとう」
彼の目を見ることなく、さっきまでとは打って変わる無表情で早口でそう言うと、メルは私に手を振って足早に教室を後にした。
確か野球部だと言っていた前の席の彼はガクッと肩を落とし、爆笑しながら駆け寄ってきた同じ部活の人たちに励まされていた。
彼の目にはとりあえず私の姿は一ミリも映っていないようだ。
メルは学校で笑顔を見せるようになったが、それはあくまでも私にだけだ。
他の人間と接する時は私も恐ろしく感じるほどに愛想のかけらも見せない。
その徹底ぶりに今日も舌を巻きながら次の授業の準備を始めた。