彼の溺愛はわかりづらい。


そして、はーちゃん先生に向けられていた私のイライラは、またもやヤツへと矛先が変わる。



「…どーも心配していただきありがとうございますー」

「全然心こもってねぇじゃねぇか」

「だって思ってないし」



思ってもないことを心込めて言えって、どんだけ鬼だよ。

ましてや、コイツに演技だとしてもそんなこと言うとか、吐き気するわ。



「…つーか、お前を名前で呼ぶ男とか誰?聞いたことないんだけど」

「別に関係ない」

「関係ある」

「じゃあどんな関係?教えて?13文字以内で」

「クソビミョーだな」



え、13日の金曜日にかけたんだけど。今日金曜日だし。

そして、どんな答えだとしても、元から教える気なんてないけど。



「犬猿の仲」

「否定しない。やっぱそれ、自他共に認めるってやつだね。ま、どっちにしろ誰なのかは教えないけど」

「最初からそのつもりだったんだろ貴様」

「ご名答」



うん、まぁ、クソ野郎にでも悟れるんだったら聞いてくんなや。
喉の無駄遣いだわ。…ところで喉の無駄遣いって何だ。



「やっぱ夫婦じゃん。以心伝心ってヤツ?ヒューヒューだよ」

「「《羽澄・はーちゃん先生》うるさい」」



夫婦とか囃し立てるとか小学生かよ。
こーゆーのとか黒歴史とか、はーちゃん先生のファンにも見せてやりたい。




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