彼の溺愛はわかりづらい。
――コンコン
そんなことをぼんやりと考えていると、突然、部屋のドアがノックされた。
多分、お兄ちゃんが心配して来たんだろう。
「は~い」
「よ」
「え、世永くん…!?」
お兄ちゃんかと思いきや、世永くんだった。
まぁ、世永くんもお兄ちゃんみたいな存在だから、あんまり変わりないのかもしれないけど。
「…あれ、琴、友達ってオトコだったの…?」
「友達とは言ってない。友達チガウ。クラスメイト。あくまでクラスメイト」
「…それならいいけど」
「?」
何がどういいんだろう。
…あ、そういえば、燈には一応告白されたし、ただのクラスメイトってわけではないかもしれない。ま、いいや。
「琴、ソイツ、誰?」
「こ、琴…!?」
「なんだよ」
なんだよも何も。
びっくりして、しぃに怒られたかと思った。…あれはびっくりどころじゃないけど。
あ、でも、私が「燈」って呼ぶんだから、燈が私を「琴」って呼ぶのも、もしかしたら普通のことなのかもしれない。