彼の溺愛はわかりづらい。
「いや?ケダモノくんと可愛い琴を二人っきりにさせるわけにはいかないし」
「え!?よ、世永くん…!?」
まさかさっきの、聞かれたとか…!?
どうしよう、今なら恥ずかしさで軽く死ねるんだけど。
…っていうか今、可愛いって言った!?
で、でもきっと、ペット的な感覚で言ったんだよ。そうじゃなきゃおかしい。
「ね?琴?」
「わ、私に聞かれても…」
「それに大体、俺、羽澄の連絡先ぐらい知ってるし。会いたくなれば会えるし」
「なにその好きな子に対する決めゼリフみたいな」
「まぁ、会おうと思わないんだけど」
思わないんかい。
ドンマイ、はーちゃん先生。
…隣で燈も、引きつった笑顔を浮かべている。そりゃそうだ。それが普通だと思う。
…相変わらず掴みどころないなぁ、世永くん。
「で、そこの燈くんとやら」
「…気持ち悪いんで、『くん』とか付けんのやめてください」
「はは、ばっさりだねぇ」