彼の溺愛はわかりづらい。


「…別に、いいんじゃない?名称くらい、どうでも」

「…っ、そうか…!」



渋川の返事一つで、これだけテンションが上がる俺。
我ながら、すごく単純で、少し自分に呆れる。


渋川はどんな顔して俺のこと見てんのかな…と思って、渋川の方を見てみると、なんだか、困ったような…戸惑っているような…怒っているような…百面相をしている。

…可愛いし面白いけど、なんだからしくないように見える。



「どした?何かあんの?悩み事とか」

「…っ、別に」



もしかしたら、本当に可能性はゼロに等しいけど、俺のこと意識し始めてドキドキして戸惑ってるんなら、…なんて嬉しいことなんだろう。

…なんて邪なことを考えてすみません。
ありえないか。


もし、渋川が何かに悩んでるんなら、力になりたいけど…。
…俺に言ってくれる様子はない。当たり前か。

なら、俺にできることは一つだけ。



「…それともなんだ、アイス一個で拗ねてんのか?」

「なわけないでしょバカ!」



…これだよ、これ。
ほら、いつもの調子に戻ったな、渋川。

本当は、すぐに抱きしめて慰めたりしたいけど。落ち着かせてやりたいけど。
…そんなこと、できるような関係じゃない、俺たちは。

悔しい。




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