秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
「じゃあ、私がこの公爵領に来たのは……」
「件の侯爵令嬢に侍っていた野郎どもの中で、唯一おまえに面会……【魅了】を解いて貰っていない哀れな男が一人、居たからだ。王太子殿下は、そんな哀れな愚息を案じて、アルフォードの【魅了】を解いてくれると望みをかけて、おまえをレディニアに送り込んだんだよ」
……だからなのか。王太子様のあの一言は。
『すまないラヴィ、どうかアイツを頼む』
そのアイツとは、アルフォード様のことだったんだ。
「先程の一連の出来事、王太子殿下とランティスから聞いていた話と合致する部分がある。俺は、ラヴィがアルフォードの【魅了】を解いてくれたと確信している。……アルが目覚めてからじゃないと、それは判断出来ないけどな?」
(私が……)
少しばかり震える自分の掌を、じっと見つめる。
本当に信じられないことばかりで。
ーー私が、邪気をも孕む【魅了】を解いた?
神託を受ける前の聖女見習いの私が?
「聖力の訓練もしていない私が……何故、ですか」
聖力は神託を受けて初めて使えるもの。小さな頃に素養を見出された者は、その名前を登録し神殿との縁が出来るが、実際に聖力を使用することが出来るのは、神託を受けて実践の訓練を受けてから、なのだ。