秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
人殺しではなく。私の力……?
「……そのようですね」
すると、座り込んでいた大聖女様も、ファビオの一言に同意するように頷いていた。
「大聖女様」
「恐らく、あの者はラヴィに触れられたことで、【浄化】の力が働いて【魅了】が解けたのでしょう」
「え、な、体当たりしただけなのに?」
「……ラヴィ、貴女に説明した貴女の力。私の説明、覚えていますか?」
私の……力?
ーー【浄化】の聖女。
大地や植物に侵食する邪気、人の体内に滞った邪気など、『人体に害する』ありとあらゆるものを浄化してしまう。
その頭、指先から足先まで身体中に【浄化】の聖力が漲っていて、浄化の聖女が触れた部分全てに【浄化】の作用が働く。
「えっ。まさか、体当たりしちゃっただけでも【浄化】されるんですか?」
「恐らくは……」
「なるほ。だから【魅了】の支配が届かずおねんねしとるわけだ」
ほぉーと感心するファビオ。
だが、「……そうか」と、不敵な笑みを浮かべる。
そして、私の方へと振り向いた。
「ラヴィ。俺に、考えがある」
「えっ」