秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

「あそこでのびてる男は、ラヴィの【浄化】で【魅了】が解かれちゃったんだろ?……だが、ラヴィの【浄化】は【魅了】を解くだけじゃない。ユリ様もそう言ったろ」

「……」

「【浄化】は【邪気】そのものを浄化するんだよ、きっと。……俺、たぶん、その現場を見た」

「えっ、何処で」

「ルビネスタ公爵家の夜会で。……あのソープ女が、ラヴィの手を掴もうとして掴めなかった。という事があったのを覚えてない?」

「……」

あの日の夜会で、ローズマリー令嬢が?

思い返して、記憶を辿る。




《……きゃぁっ!》

《痛っ、痛い……な、何するの?》




あっ……確かに。

ローズマリー令嬢が私の腕に触れた途端、何かに弾かれて、焼けるような音がした。

私は何も感じなかったが、ローズマリー令嬢には幾らかのダメージになったようだった。




「……たぶん、【邪気】を帯びているヤツは、おまえに触れることは出来ない仕組みになってるんだよ。おまえに触れることで、邪気という邪気全てが浄化されるんだ。なんてこった」

「それは……」

本当に、なんてこった。
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