秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
触れるだけで【邪気】から山菜のアクまで抜いてしまう、この私の力。いや、身体。
考えたら、なんて脅威な存在だ。
だから【秘匿されし聖女】の扱いになるのかと改めて認識せざるを得ない。
「……にゃので!俺の推理が正しければ、邪気塗れになっているソープ女がラヴィにドンと体当たりされたもんなら、纏わせている邪気は全部浄化されるだろな。羽交い締めされたもんならおまえ、体内に蓄えているであろう邪気も残らず消し飛ぶかもしれん。そうすれば、【魅了】の効果そのものが無効化となり、この有象無象の野郎どももアンデッドのようにリバースすることは無くなる。……と、いうのが俺の見立て」
「……」
りばーすする、とは何か……と、ファビオ語録に首を傾げている場合ではないか。
だけど、私がローズマリー令嬢に体当たり?
女性で、神殿の雑用しかやってこなかった、腕力の無い私。そんなこと……出来るのだろうか。
ここから、ローズマリー令嬢とアルフォード様が対峙している場所までは、距離があるし。
素早く近付いていかないと、気付かれるだろう。
考えれば考えるほど、疑念でいっぱいだ。