秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
そう言って「わははは!」と大笑いしたのち、肩をバシバシと叩かれる。私の体、グラグラと揺れた。
「ど、ど、ドーンって」
「よぉーし。なら、隙が出来たら俺が合図してやる?ピンク令嬢は、未だ公子様とのやり取りに夢中だ。……よく見てろ?」
「……」
ファビオの言った通りに、向こうの現場を確認する。
「ローズ!頼むから【邪気】を治めてくれ!そうでないと……取り返しがつかないことになってしまう!」
そこは相変わらずの戦の場で、アルフォード様が守護結界で邪気から身を守りながら、ローズマリー令嬢を説得しようと必死で呼び掛けていた。
且つ、男たちからの襲撃にも峰打ちを喰らわせて対応している。傍で補佐するミモザさんがいなかったら対応しきれないほどだ。
防戦一方である。相手が魔獣ではなく邪気で操られている人間というのもあるけど。
でも、アルフォード様は恐らく……ローズマリー令嬢に完全なる敵意を向けているわけではないのだ。だから、手を出せずに説得に走っている。
救いたいと思ってるのだ。