秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
【魅了】で、意に反して都合良く動かされたにも関わらず、ローズマリー令嬢を憎みきれないのは……きっと、彼女に対して特別な想いでもあるのか。
【魅了】で操られてなくても、恐らくローズマリー令嬢のことを……。
そう考えると、胸がつきんと痛む。
……だが、アルフォード様の想いはローズマリー令嬢には届かず。
「何を言ってるの、アル?!これは女神の力だって、アルも認めてくれたじゃないの!それに私、前から言ってるよね?!神殿は悪だって!悪は正さなきゃならないって!」
まるで、聞く耳を持たないようだ。
「神殿は悪ではない!恐らく君の思い違いなんだ、ローズ!」
「そんなはずはないわ!だって、そういうシナリオなんだもの、この世界は!間違ってなんかない!」
まだ、その乙女ゲーム?の筋書きの話をしているのだろうか。物語はもう破綻しているとわかっているはずなのに、まだ諦めきれないようだ。
「私が今ここで、この女神・アフロディーテの力で神殿と大聖女を滅ぼす!……それで、この国の平和は守られるのよ!」
「ローズ……」