秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

それに、声をかけてみたこの落胤も、急に『キターッ!アフ愛の世界!』と叫び出したと思ったら、『私は女神の力を持ってるはず!』だとか『王太子や公子も私に夢中にさせてみせる……むふふ』とか、大いに乗り気ではないか。理解できない発言が多く、頭弱くてイカれていそうだが。

だが、バカとハサミは使いようで、都合の良い言葉をかけて丸め込み、侯爵家に連れて行く。泉に手を入れたいとか言っていたが、そのぐらいは付き合ってやってから魔術師団に連れて行き、彼女のほざく【女神の力】と称して、こっそり邪気契約を行ったのだ。

なんと、ローズマリー令嬢も言葉巧みに騙された、ある意味被害者だったのだ。

ローズマリー令嬢と顔を合わせた侯爵も、この美貌ならどこかの高位貴族との縁続きも出来るのでは?と、期待を膨らませ、ローズマリー令嬢を侯爵家に迎えた。

学園に入学させ、王太子殿下と良い仲であるという噂を聞き、もしや……と、侯爵は内心ほくそ笑んでいたようだが……まさか、【魅了】のせいだとは思いもしない。




その魔術師ーーブレイド・サンゴイシ子爵令息も、ランティスお兄様らが即座に捕らえた。

あの手この手で吐かせた内容が、この経緯である。
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