秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

たくさんの観衆がいる謁見の間にて、お兄様から報告されたその内容に、トルコバス侯爵はもう観念するしかなかった。

自分の知らぬところで行われた事とはいえ、自家の失態であることには間違いない。



そして、陛下からの沙汰とは。

与り知らぬであったこと、罪人となったローズマリーを貴族籍から抜くと断言したことで恩赦を与えられたのか、トルコバス侯爵の家門のお取り潰しは免れる。

資産と領地の部分没収、降爵、自家の魔術師団の解散を命じられ、トルコバス侯爵はそれをあっさりと受け入れた。

邪気契約に携わったサンゴイシ子爵令息ら数名は、無期収監。……恐らく、どこかの頃合いで毒杯を賜ることになるのだろう。

そして、ローズマリー令嬢は……。



「王宮魔術師団管轄の下、生涯幽閉……」



ローズマリー令嬢は邪気契約の媒体となった危険人物として、王宮魔術師団の監視の下、生涯幽閉となったのだ。

「王族への禁忌の使用は本来、極刑或いは同等の罪が相当なのだけど……」

「きっと、魔術師団の研究材料にされんでしょー?」

「……こら、ファビオ!」

ファビオの心無い言葉に思わず怒ってしまった。

私だってローズマリー令嬢にはいろいろ思う事はあるけど、ご学友だったアルフォード様の前でそんな……!
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