秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
ーーそして、トルコバス侯爵令嬢と魔術師らにより、王太子殿下、貴族子息数名が【魅了】の被害に遭ったことも公表された。
「公子様は今まで以上に頑張らないといかんねー。汚名返上のためにさ」
……アルフォード様らは、陰謀の『被害者』ではあるのだが。
同時に、【魅了】を防ぐ事が出来なかった愚か者としての『醜聞』をも抱えて、この貴族の世界を生きていくことになる。
この一年で起こった誤ちが、一生付き纏って後ろ指を差されていくのだ。
それが、この貴族世界ではどんなに苦しい茨の道になることか。
だが、アルフォード様は憂いを見せる素振りもなく、寧ろ前向きで。
「……無論、そのつもりだよ。今まで以上に励み、誠意を見せていくつもりだ」
「おぉー。やる気」
しっかりと前を向くその姿に、安堵する。
アルフォード様が大丈夫なら、もうそれで良いのだ。
すると、その時。部屋のドアをノックする音が響く。
ゆっくりと開いたドアの向こうから現れたのは、ミモザさんだった。