秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

何かを言いかけ、ジッと公子様を見つめるミモザさん。

何かを目で訴えているかのようである。

公子様は顔を引き攣らせながらも「わかったわかった……」と呟いていた。

何だろ。何か目で会話していた。通じたの?すごい。二人は幼馴染と言っていたから、付き合い長いと通じるものがあるんだね。



そうして、ファビオとミモザさんは部屋を出て行った。

……この部屋には、私とアルフォード様、二人きり。



(……はっ!)



大して何も考えずに、二人を送り出してしまったが。

そうなると、意中の殿方と二人きり……!

改めてそう思うと、何故か緊張してしまい、背筋を伸ばしてしまった。



「ラヴィ、体調はどう?辛くはない?」

「は、はい。もう三日も寝てしまったので、体調はすこぶる良いです……」

「そうか、それは良かった」

改まってしまったので、笑顔を向けられると急に恥ずかしくなってしまって俯く。

けど、ふと見ると、アルフォード様のお顔は薄らと隈が出来て、疲れているような気がして、心配になってしまう。

「アルフォード様こそ、お疲れではないのですか?きちんと休めてますか?」

「大したことはないよ。確かに、さっきも事件の聞き取りで、席を外してたんだけどね」

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