秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
「お疲れではないですか。お茶、淹れましょうか?」
「あ、いいんだいいんだ!ラヴィはそのままベッドにいて!お、俺が……」
「あ、ああぁぁ、アルフォード様はいいのですよ……ミモザさん、待ちましょうか」
「あ、うん……」
なんだか、お互いとてもぎこちないのは気のせいか。
すると、アルフォード様は急に「あ、あのっ!」と、声を発したものだから、びっくりして体が縦に揺れてしまった。
「ひゃっ!」
「……あ、あの、ラヴィ!す、すまなかった!」
「……え?」
そして、ガバッと頭を下げて、私に頭頂部を見せている。
すまない?……何故、ここで急に謝られるのか、心当たりもなく首を傾げてしまう。
「あの……」
「俺たちが不甲斐もなく【魅了】の手に落ち、騒ぎを起こして……それに君を巻き込んでしまって、本当にすまなかった!」
「……」
アルフォード様の頭頂部がどんどん沈んでいく。
呆気に取られていたが、それはいけないと我に返った。
「あ、頭を上げて下さい、アルフォード様!私、謝られるようなことは何も……!」