秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
「まさか、俺たちを魔の手から密かに救ってくれたのが君だったなんて……その所為で君や神殿が狙われることになるなんて、いくら頭を下げても足りない……!」
私が狙われることになったのは、そのような理由ではあるが。でも、狙われたとは言っても、毒入りスープは効かなかったし、神殿追放は悲しかったけど、今となってはその理由も把握している。直接的な被害というものは大してない。
神殿が襲撃された場にはいたが、神殿が狙われたのはあくまでもローズマリー令嬢のいう『シナリオ』というやつだ。
だが……ローズマリー令嬢が口を開いたところで、あの妄想的な供述を理解できるだろうか。
何も、アルフォード様が罪悪感を感じることではない。
それに……。
「……それに、私は巻き込まれたわけではないと思ってます」
「そんな、」
「これは、精霊王様の思し召しなのです」
ーー御世界に、異世界の【邪悪なる気】が蔓延る時。
【秘匿されし聖女】が、牙を向ける。
聖女らの祈りも届かぬぐらい、邪悪なる気が世界を恐慌に陥れるその時。
秘匿されし聖女が、己の力を以って邪悪を滅ぼす。
「……私は、精霊王様から授かった祝福で、使命を果たしたのです」