秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

「ま、待って下さい。私が強く立派とは……」

「邪気に怯まず立ち向かっていった君を、強いと言わずに何と言うんだい?」

「……」

「それだけじゃない。どんな時も真っ直ぐ前を向くことが出来る、そんな君に俺は救われていたんだ」

「……」



黙って聞いていたのだけど……言ってることの理解が追いつかない。

私はアルフォード様の表情を曇らせないために、一生懸命頑張ってはいたが。

救われたとまで言えるような事はしただろうかと、首を傾げたくなる。

……でも、よくわからないが、アルフォード様が救われたのならそれで良しではある。



だが、それで油断をしてはいけなかった。




「そんな君の隣を堂々と歩けるような男になってみせる」

「はい、……え?」

「……その暁には、どうか俺の隣で人生を共に歩んで貰えないだろうか」

「えっ……」



言葉も息も詰まった。

人生を共に歩む、だなんて。どのようなことを告げられているのか、鈍感と言われる私にももちろんわかるわけで。

それは、求愛というよりも、求婚の言葉。



「……」



もちろん、驚きのあまり固まってしまった。
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