秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない
私は確かにアルフォード様に憧れて、思い慕う御方のために今回は奔走したが。
まさか、アルフォード様から、同じような想いの程を告げられるとは思ってもみなかったのである。
……いや。同じ想い……なのだろうか?
恋情云々ではなく、嫁には相応しいだとか政略的な意味合いなんだろうか。
いや、いやいや、この御方の嫁ということは、未来の公爵夫人だ。爵位もそこそこ、神殿勤めを続けていた私に相応しい立ち位置とは、どう考えても思えない。
「ラヴィ、ひょっとして。言葉の額面通りに受け取ってる?ただ隣を歩いて散歩するとか、そういう意味じゃないよ?」
「……」
わかってますって。いくら私でも。
と、なると。突然の求婚宣言に脳内が大混乱となった。
わ、私。アルフォード様に求婚されてるの?何で?何で?!
どうしてこうなった?!
唇あわあわ、加えて挙動不審にもなりそうだ。
「……ラヴィ」
「はっ!ははははい」
「ラヴィ。君にはやはり、遠回しな言葉は通用しないのかな?」
「えっ!」
ジトリと私を見るアルフォード様の不審な視線が痛い。