イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活
違う違う、これは商談をしているのではなく、お見合いをしているのだ。
『そうだな。必要なら書面も用意する』
まじか。
『あの……つまり、契約結婚、というか。便宜上の結婚をする、ということでしょうか』
そう尋ねると、彼は訝しむように眉根を寄せた。
だが、彼の言い様を聞いているとそうとしか思えない。
『結婚そのものが契約みたいなものだろう?』
ここで私の眉間にもきゅっと皺が寄る。
不審な顔を突き合わせ、私の頭の中にはクエスチョンマークが飛び交っていた。おそらく彼の頭の中も同じだろう。
どうも、上手く会話が噛み合っていない気がする。
『では、例えば、今何かの理由があって結婚しなければいけないとして、それが解決したら離婚する、というようなことでしょうか』
『離婚する必要があれば、それも検討することもあるだろうが、それはどんな夫婦でも同じだろう』
……つまり、彼は何か裏があってということではなく?
期間限定などでもなく、上司に紹介されたお見合い相手、つまり私と本当に結婚を検討している、ということでいいのだろうか。何かズレているような気がしている原因が分かった気がする。どうも、『結婚』に対する認識というか概念が、彼と私とでは違うようだ。
だがしかし、それならそれで、やはり腑に落ちないのはなぜ『見合い』なのだということだ。