イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活
――告白、という雰囲気でも、ないなあ。
本を持って、部屋に逃げることも考えた。
だけど、いつもと違う様子にやはり放っておくこともできない。
やがて、キッチンでコーヒーを淹れてカップを手にリビングにやってきた。その表情で、なんとなくだけれど……ひどく疲れて見えた。
私が座るソファに腰かける。
決して面倒がられているわけではなさそうだ。
「……こんな時間まで読んで、大丈夫か」
私の膝にある文庫本に目を向けて、ふっと苦笑いをした。
その瞬間に彼の力も抜けた気がして、ちょっとほっとする。
「あ、うん。そんな真剣に読んでたわけでもなくて」
閉じた本をテーブルに戻してそう言うと彼が何を思ったか私の顔を覗き込んだ。