イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活
「何かあったか?」
「え?」
「いや。読書に夢中になってたわけじゃないなら、用があって待っていたのかと思った」
途端に狼狽えた。
ただでさえ緊張しているのに、こんな疲れた様子の郁人に告白しても……彼だって、それどころじゃないかもしれない。
「あ、えっと」
いや、だけども、ただ疲れているだけなら、私の気持ちだけでも今伝えてしまおうか。
いやいや、そんなのは自己満足、なような。
予想外の状況だったため、余計に言い出し方もわからなくなった。それでも一大決心をして待っていた今を逃せば、また勇気が出るかといえばわからない。
混乱を極める私に、郁人の眉が心配そうに寄せられた。
じっと目を見つめられ、何か、何か言わなければと追い詰められて。