イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活
「それは、契約違反はあったが結婚生活はこのまま続けていく、という意志があると受け取っていいのか」
「もちろん、そのための再考です」
当然だ、としっかり頷いてみせると、彼の表情がほんの少しだけ、ほっとしたように緩んだ気がした。
その表情に、なんだか少し気恥ずかしいような、照れくさいような感情が溢れて目を伏せてしまう。
いや、いかん。
こんなことで気を緩ませている場合ではない。
私は今から、郁人に契約違反を指摘して彼の事情に踏み込む権利を得なければならないのだ。
本当なら、郁人だけのせいではない、私自身心地よいと思ってしまっている行為を、彼のせいにして。
とても、嫌味なことをしようとしている、と今更になって気が付いて、ごくりと唾を飲み込んだ。