イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活
数秒、見つめ合った。互いの目の中に、本心を探しているかのようなその空気は、突然終わる。
不意に近づき、目と目の間に触れた唇によって。
「ん」
咄嗟に目を閉じて受け止めた。すぐに離れた唇は、次は瞼と額に落ちた。ちゅ、ちゅ、と啄むようなキスは、頬を経て最後は唇にたどり着く。それまでで一番、優しくそっと、触れるキスだった。
片手は握られたまま、もう片方の手が私の頬を優しく包んでいる。
キスが止んで、その手に肌を擽られながら郁人の言葉を待っていると、ぽつりと静かな声で始まった。
「紹介したいような家族はいない。それは、嘘じゃない。俺と歩実の結婚に、干渉されたくなかったしな」
「うん……?」
「両親は、学生の頃になくなってる。母方の親戚がちょっと厄介なんだ。結婚したことをまったく知られないようにすることは不可能だろうなとはわかっていたけど、なんだかんだ文句を言われるのを俺が聞き流していれば、それで問題はない予定だったんだ」
不意に近づき、目と目の間に触れた唇によって。
「ん」
咄嗟に目を閉じて受け止めた。すぐに離れた唇は、次は瞼と額に落ちた。ちゅ、ちゅ、と啄むようなキスは、頬を経て最後は唇にたどり着く。それまでで一番、優しくそっと、触れるキスだった。
片手は握られたまま、もう片方の手が私の頬を優しく包んでいる。
キスが止んで、その手に肌を擽られながら郁人の言葉を待っていると、ぽつりと静かな声で始まった。
「紹介したいような家族はいない。それは、嘘じゃない。俺と歩実の結婚に、干渉されたくなかったしな」
「うん……?」
「両親は、学生の頃になくなってる。母方の親戚がちょっと厄介なんだ。結婚したことをまったく知られないようにすることは不可能だろうなとはわかっていたけど、なんだかんだ文句を言われるのを俺が聞き流していれば、それで問題はない予定だったんだ」