イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活
「叔母が何かとうるさくて、意に沿わない相手をあてがわれるくらいなら自分で相手を見つけて結婚してしまおうと思ってたのは……確かだ」
「それで、私とのお見合いにあんなに前向きだったんだ」
「……誰でもよかったってわけじゃないからな」
「わかってるよ」
ちょっと言い訳がましい言い方をする郁人に苦笑いをする。
さすがに、以前から私を好きだったとかそんな乙女展開は期待していない。
「叔母は文句は言ってくるだろうが、従弟が予定通りに後を継ぐために本社に収まってくれたらそれで問題ないはずだった」
そこでまた、苦々しく顔を歪めた郁人が深いため息を吐いた。
「その従弟さん、どうしたの?」
「……逃げやがった」
「え」
「文筆家になるんだと」
「ぶんぴつか」
文筆家……!
責任も何もかも投げ出して、文筆家になると言って行方をくらませてしまったらしい。
なんかもう、ボンクラ臭が漂うのは気のせいだろうか。