イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活
郁人の眉間に、ぎゅっと皺が寄った。そして、急に真一文字に唇を閉ざしてしまう。

「え、ちょ、何」
「……言いたくない」
「何言ってんの、もうここまで話して今更そこでダンマリなの? 大丈夫、覚悟したから!」

とりあえずお金持ちなんでしょう。
そこはもう理解したし遺産だなんだ、後継がなんだとややこしそうなのもよくわかった。

なのになんで、今更隠そうとするの。
ちょっと無性に、腹が立ってきた。

「そんなに私に知られたくない?」

少し、責めるような口調になってしまった。
それでも郁人の口は重い。

「……お前が嫌がるのわかってるから」
「逃げないって言ったのに?」
「お前、派手なの苦手だろう」

首を傾げて「ん?」と小さく声が漏れた。
郁人が何が言いたいのかわからない。

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