イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活
行けば迷惑になるのかもしれない。
守ってもらいたいわけじゃないのだ。ただ、郁人が大丈夫なのか、疲れてないか落ち込んでないか傷ついてないか、それが心配なだけ。
「……郁人」
『大丈夫だ』
「郁人」
電話の向こうが騒めいた。
郁人以外の誰かがそこに居るのか来たのか、そんな気配がする。
『ちゃんと帰るから、待っててくれ』
その言葉を最後に通話は切れてしまう。
夫婦なら、こんな時こそ支えないといけないと思うのに、支えるべき相手がとても、遠く感じた。
手が届かないほどに。
心もとなさに襲われる。けれど今本当に大変なのは郁人の方だと、唇を噛んで耐えた。
しばらくは帰れない、と言った。けれど、ちゃんと帰ると言った。
何もできないけれど、ここで彼を待つことがきっと支えになるのだと自分に言い聞かせる。
「……行かないで」
あんまり、遠い人にならないで。
祈るように零れた呟きは、無意識だった。ひとりで眠ることが寂しいと感じる初めての夜を過ごして、翌日。
眞島商事会長の訃報が流れた。
守ってもらいたいわけじゃないのだ。ただ、郁人が大丈夫なのか、疲れてないか落ち込んでないか傷ついてないか、それが心配なだけ。
「……郁人」
『大丈夫だ』
「郁人」
電話の向こうが騒めいた。
郁人以外の誰かがそこに居るのか来たのか、そんな気配がする。
『ちゃんと帰るから、待っててくれ』
その言葉を最後に通話は切れてしまう。
夫婦なら、こんな時こそ支えないといけないと思うのに、支えるべき相手がとても、遠く感じた。
手が届かないほどに。
心もとなさに襲われる。けれど今本当に大変なのは郁人の方だと、唇を噛んで耐えた。
しばらくは帰れない、と言った。けれど、ちゃんと帰ると言った。
何もできないけれど、ここで彼を待つことがきっと支えになるのだと自分に言い聞かせる。
「……行かないで」
あんまり、遠い人にならないで。
祈るように零れた呟きは、無意識だった。ひとりで眠ることが寂しいと感じる初めての夜を過ごして、翌日。
眞島商事会長の訃報が流れた。