イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活
しかし、私の心を折るような事態が訪れたのはその直後だった。
オフィスに戻ってすぐ上司に呼ばれ、連れて行かれたのは役員フロアにある応接室だ。
そこに、常盤かすみさんが居た。思わず入口付近で立ち止まる私の背後で、扉が閉まる。ここに連れて来た上司は、帰ってしまったようだ。
「ふたりで話せるように頼んであったの。そんなところで固まってないで、どうぞ座ってください」
促されて、上等そうなふかふかのソファに座る。そこにはすでに、ふたり分のコーヒーが置かれていた。
「郁人さんの情報が洩れてしまって、驚いたでしょう。社内、混乱してるわね」
「漏れてしまって、って……」
こちらにその情報が流れたのは、意図したことではなかったとでも言いたげだ。嘘ばっかり、と思う。
どのみち知れたことだと思うけれど、子会社に降りてくる情報にしたら早すぎる。
「郁人さんと叔父様叔母様は、各社への対応や葬儀の準備でお忙しいの。だから私が代わりに来たのだけれど」
彼女がテーブルの上に、役所で配布される大きめの封筒を置く。
中身が何かは、見なくてもわかった。
「郁人さんと、離婚してくださる? あなたには荷が重いでしょう」
常盤さんの笑顔は、相変わらず自信にあふれて綺麗だった。
オフィスに戻ってすぐ上司に呼ばれ、連れて行かれたのは役員フロアにある応接室だ。
そこに、常盤かすみさんが居た。思わず入口付近で立ち止まる私の背後で、扉が閉まる。ここに連れて来た上司は、帰ってしまったようだ。
「ふたりで話せるように頼んであったの。そんなところで固まってないで、どうぞ座ってください」
促されて、上等そうなふかふかのソファに座る。そこにはすでに、ふたり分のコーヒーが置かれていた。
「郁人さんの情報が洩れてしまって、驚いたでしょう。社内、混乱してるわね」
「漏れてしまって、って……」
こちらにその情報が流れたのは、意図したことではなかったとでも言いたげだ。嘘ばっかり、と思う。
どのみち知れたことだと思うけれど、子会社に降りてくる情報にしたら早すぎる。
「郁人さんと叔父様叔母様は、各社への対応や葬儀の準備でお忙しいの。だから私が代わりに来たのだけれど」
彼女がテーブルの上に、役所で配布される大きめの封筒を置く。
中身が何かは、見なくてもわかった。
「郁人さんと、離婚してくださる? あなたには荷が重いでしょう」
常盤さんの笑顔は、相変わらず自信にあふれて綺麗だった。